黒酢とは
黒酢は南九州で「つぼ酢」と呼ばれていたもので日本に伝わったのは約200年前と言われています。黒酢ブームが訪れると悪質な業者も出てきたため、農林水産省がJAS規格において黒酢の定義を定めました。
黒酢とは?
日本には200年前に中国から伝わった
黒酢というのはもともと南九州の鹿児島県福山町で「つぼ酢」と呼ばれていたもののこと。
今から約200年前に中国の難破船が薩摩半島に漂着し、米酢醸造の技術を伝えたのが始まりとされています。
が、これには諸説があってはっきりとしたことはわかっていません。
ふつうの酢とは使う米の状態が違う
その作り方は通常の米酢と同じで、酵母や酢酸菌を加えることなく米と麹と水をつぼに仕込むというもの。
ただし、米酢とは使用する米の状態が違います。
玄米を使う
米酢は精米を使用しますが、黒酢は収穫された米からもみがらだけを取り除いた玄米を使用します。
この玄米のほうが精米よりも栄養価が高いことが知られています。
玄米の方が栄養が高い
黒酢作りは南九州の気候、風土、水にとてもよく合っていたので今日に至るまでずっと伝承されてきました。
しかし、その製造方法はまったく効率的とはいえず、伝承が途絶える危機に瀕したこともあったようです。
黒酢はなぜ黒い
黒酢の特徴といえばやっぱりその黒褐色。
どうしてこんな色になるのか不思議ですよね。
黒酢がこんな色になる理由はそのプロセスにあります。
でんぷん質は麹菌によって糖分に変化します。
原料の玄米や大麦などのデンプン質は麹菌の働きによって糖分に変化します。
また、タンパク質はアミノ酸に分解されます。
酢酸菌の発酵で酒から酢へ
次に酵母菌がその糖分をエネルギーにしてアルコールを作ります。
この状態で止めるとお酒になりのですが、酢酸菌の酵素によって発酵をさらにすすめるとお酒は酢に変化します。
決め手は「アマン壺」
利用されるつぼは「アマン壺」といわれるもので、この中には酵母と酢酸菌が住み着いています。
この中で半年から3年の時間をかけて熟成させ、そのプロセスにおいてアミノ酸と糖の反応が進むことで
あの独特の香りと黒褐色の色を生み出しているんです。
現在の黒酢の定義
しかし、少し前に黒酢ブームが訪れると、このような長い熟成時間をかけずに
酢にカラメルで黒褐色の色をつけただけで黒酢として販売するような悪質な業者も出てきました。
そこで2003年7月、農林水産省はJAS規格において黒酢の定義を定めました。
発酵、熟成によって変色したもの
黒酢は穀物酢のうち、原材料として米(玄米)、または小麦もしくは大麦を加えたもののみを使用し、
米の使用量が穀物酢1リットルにつき180g以上であって、
かつ、発酵および熟成によって褐色、または黒褐色に着色したものとしたのです。